
はじめに
こんにちはCT部エンジニアの薄葉です。
弊社でも利用率が高まっていっているTouchDesignerですが、POPsが追加されてからどんな表現ができるか、どんな使い方があるのかと日々触れて模索中です。
POPsとは…?というところから始まる他の記事もあるので是非こちらも読んでみて下さい。
【TouchDesigner】いちばんやさしいPOPsのはじめかた
【TouchDesigner】POPsで作るパーティクル入門:Unity VFX Graph経験者向け補足あり
今回はGPUで動く新機能POPsの副次的効果によって、書き出せる3Dモデルのクオリティが飛躍的に上がっていたので記事にしてみようと思います。
3Dモデルが書き出せるということはゲームエンジンで背景オブジェクトやエフェクトなどに使用したり、BlenderやC4Dなどでグラフィックを作る時の素材にしたり職種によって使い道が色々あると思います。
是非何かの参考になれば幸いです。
1.GPU処理のおかげでHoudiniやGeometryNodeのようなプロシージャルモデリングが可能に
これまでの3Dを扱うSOPはCPUベースで動くオペレータ群の為、頂点数の多いオブジェクトや複雑な形状をSOPのみで作ると編集のたびにFPSが落ちて固まったり、最悪アプリが落ちたりする為TouchDesignerでモデリングするという選択をあえて取ることはありませんでした。
しかしPOPsは大量の頂点を動かしてもFPSを維持し軽快に作業を行うことができます。
Examplesを見てもらっても分かるようにAttributeを上手く使ってSOPにはできなかった表現も沢山できるようになっています。
個人的には気軽なプロシージャルモデリングのソフトが手に入ったような気持ちになりました。
今回は下記のプロシージャルバナナを3Dプリントしてみます。
※ビジュアルの簡単な解説 ・まずFieldPOP,GroupPOPを使い空間に3つの「効果範囲」を設定しています。 ・それぞれの範囲内にある頂点には、「Voxel」「Twist」「Noise」といった異なる効果がかかるようになっています。 ・範囲が重なっている部分では効果と色が混ざり合い、より複雑な見た目が生まれる仕組みです。
2.POPsで作ったオブジェクトを書き出す
まずPOPsでオブジェクトを作ります。
3Dモデルとして書き出したい場合はPointsやLineStripではなくMeshである必要があります。
以下のように陰影がある状態です。

POPの状態では書き出しができない為、POPtoSOPを使用しSOPに変換します。
この時POP側はアニメーションさせていない状態が好ましいです。
大量の頂点アニメーションが行われているオブジェクトをSOPに変換するのでアニメーションしていると負荷が高いです。
SOPに変換後、適当なSOPオペレーターを右クリックしSaveGeometoryを選択すると3Dモデルを保存することができます。
今回はFBXで書き出しました。

補足:SaveGeometoryとは?
SOPに表示されているオブジェクトを3Dモデルとして書き出せる機能です。
これまでも機能としては存在していました。
tog,bhclassic,fbx,dae,3ds,dxf,objなど書き出せる形式は色々揃っています。
先にお伝えすると一つ残念なのはこの機能でのアニメーション付きのモデルは書き出せないところです。
アニメーション込みで書き出したい場合はVATを利用したり工夫が必要ですが、今回は話が逸れてしまうので触れないでおきます。
3.プリントするための前準備
書き出したFBXを3Dプリンターで出力するには一度DCCツールでインポートしてSTLで書き出し直す必要があります。
今回は使い慣れているBlenderを使用しました。
この時点で3Dモデルで気になる部分があれば不要な頂点を削除したり、法線の向きを整えたり少し手を加えます。
よく使用するのは「Merge by Distance」と「Recalculate Outside」です。
自立させたかったので追加で土台を付けました。
スライサーソフトでGcodeを作成しいざ出力します!

4.完成したTouchDesigner製バナナ
穴が開いたり、欠けることなくPOPsで作ったバナナが出来上がりました。
数値で形作られてる感のある見た目がGoodです。
左からバナナがVoxel→Noise→Twistと繋がっていくのがちゃんとできています。



5.Unityでも使ってみる
POPsを使って新しく二つFBXを書き出してみたのでこれらをUnityにインポートしてみます。


特に凝ったことはせず単純に配置してみました。
回転させているだけですがモデルの質感がいいのでこれだけでも
それなりにかっこよく見えます。
ワイヤーフレームで表示するなどShaderGraphを適用したらかなりいい絵ができるのではないでしょうか?
個人的にはすぐにでもVJの素材の一部に取り入れられると思ってしまいました。
6.まとめ
今までGLSL等で頂点を動かして作ったビジュアルを3Dモデルとして書き出したいとずっと思っていたので今回の機能は念願でした。
HoudiniなどのDCCツールに適うとは思いませんがTouchDesignerの気軽さは他のソフトにはない魅力なので、モデリングツールとして上手く利用してみるのも良いかもしれません。
POPsに関してはこれから面白い作例が沢山出てくると思いますし、自分も多く触れて学んでいきたいと思います。
以上POPsとモデリングのお話でした。