デザイン部でチーフマネージャーを務めている御幡です。
今回は「マネジメントのマインドセット」についてお話ししようと思います。
目標設定、進捗管理、人材育成、評価、リスク管理。さらに最近では、1on1やメンタルケア、キャリア支援など、メンバーのモチベーションに関わる要素まで、マネジメント業務は多岐にわたります。
では、そうした業務を遂行するにあたって、どのようなマインドを持つ必要があるのか。
自分自身の考え方の変化を“ゲーム”に例えながらご紹介しようと思います。
まだまだ試行錯誤の毎日ではありますが、同じようにプレイヤーからマネージャーへ移行している方の参考になれば幸いです。
マネジメントは“新しいゲーム”

自分のキャリアを振り返ると、
- プレイヤーとして個人の成果を追いかけた時期
- プレイングマネージャーとして案件をディレクションした時期
- そして今、マネージャーとして部全体をデザインする現在
このように比重が「プレイヤー」から「マネージャー」へとシフトしてきている真っ最中です。
最初は「自分がどれだけ強くなれるか」に集中していましたが、今では「どうすればデザイン部全体が強くなれるか」へと関心が移っています。
その変化は「プレイするゲームジャンルが切り替わっていく」感覚に近く
アクションゲームとして自身を鍛え、次にRPGゲームとして仲間を率い強敵に挑み、そして今は組織を勝たせる戦略ゲームをしている――そんな実感があります。
プレイヤー時代:アクションゲームのように

キャリア初期は、完全に「プレイヤー」でした。
アクションゲームで装備を整え、スキルを磨き、強敵に挑む主人公のように
- より高い表現スキルを身につけたい
- 大きな案件で成果を出したい
- 誰よりも早く、誰よりも高品質なアウトプットを出したい
すべてが「自分のレベル上げ」につながっていました。
成果を出せば良い案件にアサインされ、経験が積める。その好循環を生み出すために、ひたすら自分を鍛えることに貪欲でした。
プレイングマネージャー時代:個人からパーティーへ

経験を重ねると、ディレクションを任されるようになり、会社の役割としてもマネージャーとしてユニットのマネジメントの役割も担うようになっていきました。
この時期は、アクションゲームの「個人プレイ」から、RPGゲームの「パーティー編成」へと感覚が切り替わっていきます。
自分が最強である必要はない。
- 攻撃は攻撃が得意なメンバーに任せる
- 防御は防御が得意なメンバーに任せる
- 自分は全体の力を最大化するために統率する
大事なのは、仲間の強みを考えて、最適なポジションに置き、パーティーとして成果を出すこと。
プレイヤーとしての自分もそこには存在していますが、「自分がすべての能力で突出して強くなくてもいい」という意識が強くなっていきました。
また案件をディレクションする経験は、そのままチームをまとめるマネジメントと親和性が高く、自然につながったような気がします。
マネージャーとしての現在:組織をどう強くするか
チーフマネージャーとして数年たちますが、現在の関心は「部として、そして会社としてどう成果を出すか」へと広がっています。
もはや「自分が最強装備を持つこと」には意味を感じません。むしろ、
- 最強装備を持つ人材をどう育てるか
- リーダーにチームを任せてどう経験を積ませるか
- チームをどう組み合わせて組織全体を強くするか
そこにこそ価値を感じるようになりました。
どんなスーパープレイヤーでも、個人の力だけでは限界があります。
求められることが大きく、難易度が上がる中でマンパワーの限界を感じるようになりました。
だからこそ、自分の役割は「全体をどう勝たせるか」へと変化したのです。
ウルトラマンは日本を守れるのか?

そんなとき、ふと思い出したのが学生の頃に読んだ『空想科学読本』の話です。
「ウルトラマンは本当に日本を守れるのか?」という検証で、ウルトラマンは3分しか戦えず、マッハ5で空を飛んだとしても、同時多発的に怪獣が現れたら日本を守り切れない。ウルトラファミリーが全員集合しても日本全体をカバーすることは不可能だ――という内容でした。
これはまさにマネジメントしている今と似てるなと感じています。
案件(怪獣)は同時に発生し、デザイナー(ウルトラマン)は数に限りがある。もし自分自身が「ウルトラマン」として現場に出続ければ、全体を俯瞰で見ることも出来ず、日本を守れなくなる。
だから必要なのは、ウルトラマンを育て、配置し、日本を守ること。
これが「プレイヤー」と「マネージャー」の価値観の違いだとしっくりきています。
マネジメントの本質に気づく
とはいえ、今の自分はマネジメント8割・プレイヤー2割。(くらい)
大型案件にディレクターと参加してマネジメント業務との両立に限界を感じたのをきっかけに意識的にマネジメントに比重を置いている真っ最中です。現場で手を動かすこともまだありますが、軸足は常に「日本全体を守ること」。
作業に向き合うときも「これは自分が必殺技を覚えるためか?それとも必殺技を伝授して仲間を育てるためか?」を問いかけるようになりました。
そう考えるようになってから、マネジメントとの向き合い方がぐっと楽になり、マネジメントとは「自分を輝かせる戦い」ではなく、「組織を輝かせ、次の世代を育てる戦い」なのだと強く意識しています。
おわりに
プレイヤーとして、ウルトラマンとして最前線で戦うことも大切です。
しかし、マネージャーの役割は「日本を守ること」。
必要なのは、自分が強くなることではなく、仲間を育て、適切に配置し、全体を勝たせること。
そう考えられるようになってから、マネジメントは重荷ではなく、自分にとってやりがいを感じる“新しいゲーム”に変わりました。
もし今、あなたがプレイヤーからマネージャーへの移行期にあるのなら、ぜひ問いかけてみてください。
「自分が必殺技を覚えること」と「仲間を育て配置すること」――本当にやるべきはどちらか?
その答えが見えたとき、マネジメントは義務ではなく、ワクワクする挑戦に変わるはずです。