はじめに
こんには、エンジニアの稲田(@inada_yuta)です。
本記事では2023年の秋に京都精華大学3回生崎山隼さんが実施されたインターンシップのレポートをご紹介します。
ワントゥーテンで行うインターンシップは特に決められた内容があるわけでけはなく、インターンへ来られた方一人一人の興味や課題に応じメンター主導で内容を決めるような進め方が多いです。
そもそも崎山さんがワントゥーテンでのインターンを志望したきっかけは2021年に開催した「ワントゥーテン 二条城夜会」をご覧になられたことだったそうです。二条城夜会は「フロアプロジェクション+ポジショントラッキング技術」によって体験者の動きや人同士の距離に応じてリアルタイムに演出が生み出される空間作品です。
そこで「フロアプロジェクション+ポジショントラッキング技術」という要素に、崎山さんが大学で主として学ばれている「音楽」を組み合わせた作品の制作を今回のインターンシップ課題として設定する流れになりました。
ここから先は実際に課題に取り組んでいただいた崎山さん本人によるレポートとなります。
はじめまして。
京都精華大学メディア表現学部音楽表現専攻3回生の崎山隼です。
普段はフォークソング部という音楽サークルでバチバチなロックを奏でながら大学生活を送っています。
本記事は9月8日から10月27日の期間に開催していただいたインターンシップでの制作物をご紹介するレポートです。
作品コンセプト
体験者にサウンドとビジュアルのインタラクティブな変化を楽しんでもらいたいと思い、星々が光り輝いている宇宙空間をイメージして制作しました。
センサーで体験者の動きを感知してPCでデータ処理を行い、取得したデータからTouchDesignerやAbletonLiveなどのソフトウェアを使用してサウンドとビジュアルを生成し、プロジェクションを行いました。
概要
- 最大4名が同時に体験することができるインタラクティブなフロアプロジェクションコンテンツ
- HOKUYOの測域センサーを用いて体験者のトラッキングを行っており、測域センサーとの連携部分はワントゥーテンが独自に用意している測域センサー用のアプリを利用
- 取得した体験者の座標データをTouchDesigner上で処理し、ビジュアル面をTouchDesigner、サウンド面をOpenSound Control(OSC)でAbleton Liveと連携させてそれぞれ制作
制作過程と学習内容
企画立案
『Human Sound Object』からインスピレーションを受けて制作を始めました。人が立つと足元にビジュアルが発生し、更にサウンドも鳴るインタラクティブコンテンツです。
体験設計
体験者が増えるごとにサウンドも増加し、最大4名までが体験できるコンテンツとして制作を進めました。また、体験者が移動することでサウンドに変化を与えるようなインタラクティブ要素も加えました。
サウンド演出の制作
測域センサーの代わりにTUIOSimulatorを使用して座標データを取得し、データの処理にはTouchDesignerを使用しました。
Max for LiveによるOSC信号を利用してインタラクティブに変化するサウンド演出をAbleton Liveで制作しました。
ビジュアル演出の制作
同じくTUIOSimulatorを使用して座標データを取得し、Ableton Liveでサウンドが鳴ると同時に発生するビジュアル演出をTouchDesignerで制作しました。
最終成果物
インターンシップを終えて
今回のインターンの取り組みでは実際の制作プロセスを通して、インタラクティブな作品制作のためのセンシング技術に関する知識や活用法、具体的にはTouchDesignerを使った開発手法やビジュアル表現など、様々な作品制作のノウハウについて教わることができました。
これまでサウンドのインタラクティブコンテンツはいくつか制作してきましたが、ビジュアルを加えての制作経験はほとんどなかったため、大学の授業だけでは知り得なかった技術・知識を沢山教わることができ、自身の制作活動における表現の幅が大きく広がったと感じています。
制作を終えて「もっとビジュアル生成の細部にこだわりたい」「立体音響をより効果的に表現したい」などの気持ちが残りましたが、そんな新たに生まれた欲求も含めてインターンで学んだ知識と技術をさらに深め、これからの制作活動に取り入れていきたいです。
また、インターンシップ中に印象に残ったのは、会社の温かい雰囲気や社員の方々の人柄でした。皆さんが親しみやすく、ユーモアにあふれており、コミュニケーションがスムーズに行えたことも、このインターンシップを充実した時間にする上で重要な要素でした。
最後に
約1ヶ月間という短い期間でしたが、貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございました。 CT部の皆様のお陰で、憧れていたワントゥーテンの業務見学、課題制作へのアドバイスを頂き、進路に向けてステップアップすることができました。 この貴重な経験を活かして、今後の制作活動に取り組み、お世話になったCT部の皆様に良いご報告ができるよう精進して参ります。大変お世話になりました。