どうも。デザイン部ディレクターの御幡です。

巷でAIでの画像生成が話題となっている今日この頃。
当たり前のようにAIアートがSNSなどで取り上げられている中で、ある種の背徳感も感じるこのAI画像作成サービス。
このAIが席巻していく時代から取り残されないように、どういう共存と線引きが可能かを考えていこうと思います。

AI 画像生成 の素敵な使い方ってなんだろう?


どういう風に仕事に役立てることができるのか?
人間の仕事を楽にしてくれるサポーター的な存在でいてほしいという願望も込めて、本企画では「AIを用いて意図通りのカンプ絵作成」を一つのゴールとして検証と模索を重ねていこうと思います。

カンプとは、COMPREHENSIVE LAYOUTの略でデザインやレイアウトを含めた仕上がりを具体的に示すために作られる完成見本のことを指します。 クライアントや携わっている制作者との制作物の完成イメージを共有することに使用されます。

僕の具体的な業務としては、体験コンテンツの空間イメージの 方向性や世界観・イメージを提案 するためにパース的な絵を起こすことがあります。この作業こそがカンプ絵作成であり、今回の企画でAIにお手伝いしてもらおうと思っている部分になります。

まずは作ってみよう。

最初は、画像作成AIの基本的な絵の作り方から紹介していこうと思います。

今回の企画では、世間で大ブームを巻き起こした火付け役の画像生成AI「Midjourney(ミッドジャーニー)」を用いて絵を作っていこうと思います。

どういうことができるのか知らない人にもおさらい。
AI作画は、「プロンプト(prompt)」といわれる「キーワード」をテキスト入力することで、その言葉からイメージできるモノをAIが最適な絵として出力するという流れで行われます。

例えば 

Blueprint camera 」という 「キーワード」 を入力してみます。
日本語だとそのまま「設計図 カメラ」という意味でAIによって生成された画像がこちらになります。

Blueprint camera

次に
cat night 」という 「キーワード」 を入力してみます。
こちらも日本語だとそのまま「猫 夜」という意味でいたってシンプルな言葉ですが、AIによって生成された画像 がこちらになります。

cat night


このように単純なテキストでも驚くようなハイクオリティな画像が生成されます。ほんと、同じものが自分でも描くことができるのか?と考えると、この破壊的なクオリティとスピードは驚愕しかありません。

ただ、これだと、簡単なテキストを打ち込んだけ。
AI任せで、人間の介入やコントロールがなされていない状況です。

どんな絵が出てくるのかを待つワクワクと驚きはありますが、AIでの画像制作の楽しみ方としては弱いなと個人的には感じています。

いかに自分好みの画像生成させるのか、AIをディレクション(調教)していくプロセスこそが、AIを使った画像制作の醍醐味だと僕は思っています。

AIをディレクションしていこう

では、実際に自分好みの「ロボット」を目指して画像制作のプロセスを紹介していこうと思います。

 robot 

まずは、単純に「ロボット」で実行してみました。
出来上がった画がこちらになります。

いや、十分かっこいいじゃないか。

これでも十分、魅力的なのですが、ここからもう少し個性というか情報を載せて改善していこうと思います。

ロボットの装甲部分に、まだ鉄の板を曲げてくっつけたような無骨さを感じとることができます。そこにもう少し情報を載せようと思います。

また、このロボットはどういう世界の中で存在しているのかというところが設定されていないので、ロボットの方向性的にも世界のジャンルを設定しようと思います。

今回は
「small details 」というキーワードで複雑さのアウトプットを狙い
「 sci-fi 」 というキーワードで サイエンス・フィクション、つまりSFの要素を追加しようと思います。

robot sci-fi small details

出来上がった画がこちらになります。

こういうブリキのおもちゃ的なデザインも捨てがたい・・・

情報量は増やすことができたと思います。
ただ 「 sci-fi 」 というキーワードだと、ロボットの世界観にむしろレトロさも感じることが出来、曖昧な印象を受けました。

キーワードの方向性としては、間違ってないと思ったので、そこを深掘りして、SFのどのジャンルなのかということをもう少しわかりやすく設定してあげようと思います。

現代風のロボットのデザインに寄せていくために
cyberpunk 」というキーワードを追加しようと思います。

 robot sci-fi small details , cyberpunk , 

出来上がった画がこちらになります。

知能を感じるロボット感が少しは出たかな?目が光るの素敵!

おしい。
現代風には近づいてきた印象。右上の生成された画は方向性としては悪くなさそう・・・
違うアプローチでの変化も確認したかったので、
一度、モチーフとしての設定はこれで止めて、今度はどういう画の構成にしたいのか、どういう見え方にしたいのかというところにフォーカスをあてて

dramatic composition  → ドラマティックなイケてる構成
dramatic lighting    → ドラマティックなイケてるライティング
sharp focus → 魅力的なカメラボケ
concept art
→ それをコンセプトアートのように表現する

このようなキーワードを追加してみました。

robot sci-fi small details , cyberpunk , dramatic composition, dramatic lighting, sharp focus, concept art,

出来上がった画がこちらになります。

雰囲気あるなぁ。かっこいいな。ライティングって大切。

ライティングが効いてますね!
ロボットのデザインも現代風の雰囲気が漂ってきました。

ここで気になったのは、雰囲気はよくなりましたが、
ロボットの金属的なフォトリアルな質感が現状の画には表現されていません。
今度はそこを念頭においてキーワードを追加していきます。このあたりになってくると、複雑にキーワードが影響しあう印象を受けます。ですのであえて想像を超えてもらうためにも設定を多めに投入しました。

product shot of      → プロダクトと設定することで質感を期待
layout like a movie poster,   → 映画のような構図を期待
beautiful detailed      → ディテールの整理を期待
dramatic atmosphere   → ドラマティックな雰囲気を期待
ultra-realistic,       → フォトリアルな質感を期待
ray tracing global illumination,  
CGアプローチでフォトリアルな質感を期待
octane render,
→ CGアプローチでフォトリアルな質感を期待

product shot of robot sci-fi small details ,concept art, layout like a movie poster,beautiful detailed,cinematic dramatic atmosphere, cinematic lighting,ultra-realistic, ray tracing global illumination, octane render,

出来上がった画がこちらになります。

いいですね!かっこいい!
ヴィジュアルの方向性やトンマナは自分の欲しい画の設定だと思ったので、
同じ設定で何度かプロセスを走らせてみました。
同じ設定でも毎回異なる画が生成されるので、どんな画が描かれるのかコントロール出来ないところも面白さを感じます。

今回のお気に入り

いろいろ試行錯誤の上。

お気に入りのロボットが完成しました。

このように、言葉の羅列をどんどん増やしながら出会える画をディレクションして自分好みに設定していきます。

この言葉の羅列を「呪文」と呼んで、界隈では日々研究が進められています。(むしろ、AIの学習スピードが速くて「呪文」さえもそこまで必要としなくなったという話も聞こえてきたりします。 )

英語の語彙力やセンスもさることながら、同じような意味を重ねてみたり、順番を変えてみたり、逆にテキストを削ってシンプルにしてみたり。そこのプロセスのトライアンドエラーがとても楽しく。個人的には刺激的で絶賛ハマっています。

「どこをどういう風に変えていきたいのか?」ここの言語化は、ディレクションを生業とする自分にとっても、勉強にもなるなと感じています。

日々の研究を@MHT_AAIにて公開していますので興味のある方はぜひご覧ください。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回は基本的なAI画像制作の手順をご紹介しましたが、
引き続き 「AIを用いて意図通りのカンプ絵作成」 に向けて、検証実験を記事にしていこうと思いますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです。

それではまた次の機会に。



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