はじめまして。デザイナーの川合です。
1-10には社員それぞれのスキルアップや新たな技術を習得することを目的とした「シード開発」という時間が設けられています。
今回はこのシード開発の時間を活用して、趣味でもあるイラストのスキルアップに挑戦していきます。

イラストを描くツールには様々なものがありますが、近年では紙ではなくデジタルで制作し画面上で楽しむことが主流となっています。
デジタルでグラフィックを完成終結させてしまうことが多い今、離れてしまっている紙媒体の作品づくりに挑戦し、印刷と製本について学びたいと思います。
今回私が制作したいのは「ZINE」です。

|ZINEとは何か

ZINE=”好きなものを自由な手法で一つの冊子にまとめる”という表現方法

ZINEの由来には諸説ありますが、”magazine”の”zine”と考えられています。 雑誌との違いは、定まったルールがなくコンテンツが多様であることです。 本や雑誌+アートブック=ZINEのイメージです。

ZINEは自由度が高いゆえ、一冊一冊にオリジナリティが詰め込まれています。サイズや形の違いを見たり、雑貨として壁に貼ったり棚に飾ったりなど集めて比べるのも楽しみの一つです。
製本方法に関しては様々で、本だけでなく、ポストカード、ステッカー、カレンダーなどと、自分の作品に合わせて完成形を選ぶことができます。

|ZINEのテーマ

「干支」をテーマにしたイラスト

1-10らしさや今後に活かせそうな内容を考えたところ、「旧芝離宮夜会」や「縁日」など日本文化や和風のコンテンツが多いので、日本文化の一つである年賀状に関わる「干支」をテーマに制作することにしました。
ただ干支の動物を描くだけでなく、それぞれの干支の役割を汲み取り一枚のイラストに落としていきます。

子:子宝の象徴。高い繁殖力から子孫繁栄を表す。
丑:力強さの象徴。重い荷物を運んだり畑を耕したりと粘り強さや誠実さを表す。
寅:勇猛果敢。決断力の高さや才覚のある様子を表す。
兎:安全の象徴。高い跳躍力から飛躍や向上の意味を表す。
辰:権力の象徴。
巳:永遠や生命、再生の象徴。脱皮を繰り返して成長するため。
午:健康や豊作の象徴。
未:家内安全の象徴。群れでの生活を好むため。
申:賢者の象徴。知能が高く、神の使いと信じられてきた。
酉:商売繁盛の象徴。
戌:忠義の象徴。
亥:無病息災の象徴。肉が万病に効くと考えられていたため。

(引用 https://thegate12.com/jp/article/410

|制作するもの

干支×和柄×ファッション誌」

それぞれの干支の由来にあう和柄をモチーフとしたイラストを作成します。
例)【干支】子:子宝の象徴。高い繁殖力から子孫繁栄を表す。
  【和柄】七宝つなぎ:更なる繁栄、子孫の繁栄、人の縁・関係性の円満を志向する縁起の良いこと

以下の点も意識しながら制作していきます。

  • 普通の動物イラストではなく、オリジナリティのある“擬人化”イラスト 
  • 干支と和柄をうまく見せる、ファッション誌のような構成のZINE
  • 描いていて楽しいもの 
  • イラストスキル、色彩スキルをアップさせるもの 
  • ポストカード風ではなく、見ていてページをめくりたくなるもの

|進捗①

干支に和柄を割り当てる

それぞれの干支の由来に合う意味をもつ和柄を当てはめていきます。

子=七宝
丑 =格子
寅=矢絣
兎=青海波
辰=籠目
巳=卍崩し
午=麻の葉
未=唐草
申=立涌
酉=分銅
戌=三崩し
亥=菱型

オリジナルのイラストを制作するにあたって「テーマ決め」が一番時間のかかる大切な部分だと思います。キャラクターや世界観の設定がしっかり頭の中にないと、描き込めなかったり全体的にまとまりのないイラストになってしまうので、テキストベースですがこの部分はしっかりと悩んで時間をかけました。
基本は干支の由来に合う和柄で考えましたが、キャラクターに落としたときに、“温かみのある”“素早い”“高貴な”“刺々しい”“どっしりとした”…など、干支の動物に馴染むようなものを想像して掛け合わせました。

|進捗②

illustratorで和柄パターンを練習

背景や服の模様などの装飾に使用するための和柄パターンを作成しました。
和柄は使用される頻度も高くチュートリアルなども豊富にあるので、パターン化や色変えを簡単に行うことができます。

今回の和柄に限らず、illustratorのパターン化や素材作成の簡略化のチュートリアルは他の仕事の応用に利用できるので、思わぬところで勉強になりました。

|進捗③

ラフイラスト作成

実際に12種類のキャラクターを描いていきます。
子が一番イメージができていたので、はじめになんとなくの全身イラストをスケッチし、使いたい構図を考えました。
今回はZINEとして冊子にまとめるということで、小さくてもイメージが伝わるように顔のアップを描きました。見開きの1ページ目は顔アップ、2ページ目は和柄パターンを活かしたグラフィックで構成する予定です。

私はラフイラストを描く段階が一番好きで、子のキャラクターが出来上がった後の残りの11種類は短い時間で考えることができました。全く同じアングルにするのではなく、正面・右・左と振ることでページをめくったときに飽きが来ないよう調整しました。

|進捗④

イラスト着彩

まずパーツごとに線画を作成し、イメージしている色をベタで塗っていきます。
干支ごとにテーマカラーを決め、被らないように調整します。テーマカラーが目立つように、他の部分は色数を少なめに着彩していきます。

今回はファッション誌と干支がテーマなので、リアル感や神聖さを出せるように最終的に厚塗りで着彩を進めていきました。個人的に淡い色味が好きなので、このトーンは守りつつ残りの干支のイラストも作成していく予定です。

|まとめ

今回得たこと

改めて、0から設定を考えてキャラクターデザインをすることの難しさを感じました。設定を考える上で、自分の知らなかった知識が増えていくことが楽しかったです。今回で言うと干支や和柄の持つ意味など、あまり調べる機会のないような知識を得ることで自分の引き出しを増やすことができました。
私はイラストによって塗り方を変えるタイプなので、今回のように同じトーンでシリーズ作品を制作するのは初めてです。全体のトーンがブレてしまわないように気をつけていきたいです。

今後のステップ

今後の流れとしては、残りのキャラクターの着彩を進めていくことと、和柄パターングラフィックの制作を進めていく予定です。
とにかく物量が多いので期間を意識して取り組む必要があります。今回はZINE制作なので、販売会などを実施している期間を目指して制作していきたいと思います。

今回はここまでです。読んでくださってありがとうございました。



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